大判例

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東京高等裁判所 昭和50年(う)1485号 判決

被告人 鈴木敏弘

〔抄 録〕

なお、原判決は(本令の適用)の項において、原判示第一の偽造有印公文書行使の所為について刑法第一五八条第一項を適用しているだけであるが、同条項は同法第一五四条ないし第一五七条所定の偽造文書を行使した場合に適用され、これら各条項所定の刑と同一の刑に処せられるのであるところ、これらはいずれも法定刑が異なる(たゞし刑法第一五六条については第一五四条、第一五五条と同一の刑)のであるから第一五八条第一項のほか第一五四条ないし第一五七条のいずれかの条項を挙示しなければ法定刑が明らかとならないから、これらを挙示することが必要である。しかし、原判決の(罪となるべき事実)および(法令の適用)の項を通読すれば、本件は、被告人が偽造有印公文書を行使したものであることが明らかであり、刑法第一五五条第一項を誤って遺脱したものであることが認められるのみならず、原判決は結局偽造有印公文書行使の一罪として処罰しているのであるから右誤りは判決に影響を及ぼさないものと解する。また、原判決は偽造有印公文書行使の罪と無免許運転の罪の各懲役刑を併合加重するに際し、刑法第四七条本文、一〇条を適用しただけで、同法第四七条但書を適用しておらず、その点において法令の適用を誤っているが、結局累犯加重した偽造有印公文書行使の罪の刑に同法第一四条の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で処断しているから右誤りは結局判決に影響を及ぼさない。さらに原判決は押収してある自動車運転免許証の偽造部を没収するにつき、右偽造部分が偽造有印公文書行使の犯罪行為を組成したものとしながら刑法第一九条第一項第一号を適用せずに同条項第二号を適用しており、この点においても法令の適用に誤りがあるが、右誤りが判決に影響を及ぼすものでないことは明らかである。

(石田 柳原 小林昇)

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